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「桜華茶房」の創作戦国についてのログです。 BASARAの創作奥様もここに置いてあります。
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以前にあげてあったのを多少加筆修正して再UPしました。
氏政と梅姫は史実でも大好きな夫婦です。
BASARAの氏政さんも大好きなので、奥様も作ってみました。
年齢が合わないので、武田さんの姉って設定。
氏政さんが若い頃で、奥様がまだ生きていらっしゃる頃のお話です。
史実だと梅姫は、氏政にとっても愛されるのですが
武田と北条の戦に巻き込まれて別れ別れになってしまいます。
そのことに、心を痛めて亡くなってしまうのですが
そうならないうちは仲良しであればいいなぁと思います。
氏政さんが武田嫌いなのは、梅ちゃんのことがあればいいなぁとか妄想。

雨の日。
氏政はなんとはなしに、廊下を歩いていた。

「ん?」

よく見れば廊下に誰かが座っている。
近づくほどに己の妻だと分かり、慌てて氏政は髪を綺麗になおした。

「ごほんっ」

わざとらしく咳払いをすれば、フッと妻の顔が上がる。

「な、何をしておるのだ、梅」

尋ねると妻はにこっと微笑み、指差す。
指した視線の先には紫陽花。
咲き誇る青や紫の花に梅は飽きることなく見続ける。

「そうか、紫陽花の季節であったな」

こくんっと頷くが、梅の視線は相変わらず紫陽花に‥。
氏政はしばし躊躇してから、梅の隣りに座った。

「紫陽花が好きか、梅?」

少しだけ朱に染まった横顔を見て、問う。

「はい」

穏やかな、優しい声が返ってくる。

「そうか」

氏政は頷くと、押し黙った。
会話が続かないのだ。
梅は見とれているのか、氏政に視線を合わせない。
次第に氏政はそわそわしてきてしまい、視線を泳がせた。
泳がせた先に梅の白く、細い手がある。
氏政はキョロキョロと周りを見回すと、そっとその手に己のを重ねた。
ビクッと梅が反応する。
それに思わず、手を離す。

「す、すまぬ!べ、別にそなたの邪魔をしようなどとは‥」

梅は困ったような顔で、氏政を見て‥、赤くなった。

「私こそ、ごめんなさい。‥嫌では、ないのです」

その一言に今度は氏政が赤くなる。

「い、嫌ではない?」
「‥はい」

ほわっと笑って、梅は氏政の手を握る。

「むしろ、‥心地よいので好きです」

正直に口にされて、氏政はオタオタした。

「‥迷惑ですか?」
「いや、迷惑などもってのほか!梅がそれでよいのなら」

こちらは嫌じゃないと小さく呟く。

「よかった」

よかったのはこちらだと氏政は喜ぶ妻の横顔を見つめて思う。

「氏政様」
「ん?」
「‥幸せですね」

こつんっと梅の頭が氏政の肩に寄りかかる。

「う、うむ‥」

その熱にドギマギしながらも、その肩を抱く。

「‥幸せだ」

庭の紫陽花が雨に濡れ、一層きれいに輝いた。


***

「今年も、よぉ咲きおったな」

氏政はぼんやりと庭を眺め、横に座っている風魔に話しかける。

「わしは、紫陽花が好きじゃよ」

目を細め、呟く氏政を見つめ風魔は頷く。

「妻も好きじゃったなぁ」

何処か懐かしげな響き。
風魔は庭の紫陽花に目を移す。

「!?」

そんな風魔の目に映ったのは柔らかな印象の女性。
だが、瞬きの間に消えてしまった。

「どうしたのじゃ、風魔?」

不思議そうな顔をした氏政に
風魔は何かを伝えようとしたが、‥首を横に振った。
それに小さく笑って、氏政が立ち上がる。

「さてと‥、仕事に戻るかのぉ」

風魔はその氏政の背についていこうとしかけて、もう一度振り返る。


ただ、紫陽花が露を乗せてキラキラと輝いているばかりだった。

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