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「桜華茶房」の創作戦国についてのログです。 BASARAの創作奥様もここに置いてあります。
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黒田家夫妻を久しぶりに、本能の赴くまま書いてみました!
如水様と幸円様の夫婦は、
年をとっても仲良しなイメージがありますv

「‥やっぱり、変じゃないかしら」

幸円は、先ほどから鏡に向かって困ったようにそう繰り返す。

「嫌だわ‥、若くもないのに‥私ったら」

鏡に映った幸円の唇には、綺麗な朱色が乗っている。
若い頃に、如水が幸円の為に求めてきてくれた紅だ。
片づけをしていたら、ポロっと出てきたそれに
幸円は最初こそは、
「もう若くないのだから、こんな明るい朱色が似合う訳ないわ」
そう思って、塗ろうとも思わなかったのだが‥。

「年も考えないで、塗るなんて‥」

恥ずかしいと、鏡の己から目を背ける。
途端、

「何が、恥ずかしいのですか?」

そう尋ねられる。
それが、夫の声であることが分かった幸円は、
慌てて反射的に口元を袖で隠した。

「じ、如水様‥」
「おや?‥どうされたのです?」

如水は、顔を袖で隠す妻に違和感を感じて
不思議そうな顔で近づいてくる。

「いいえ‥なんでもありませんわ」
「そうですか?
では、何故なんでもないのに顔を隠すのです?」

にっこりと傍に腰を降ろして尋ねてくる如水に
幸円は、なんと言い訳をしてこの場を逃げようかと思いを巡らせた。
別段、如水が今の自分を見ても
なんとも思わないことは幸円とて分かっている。
たぶん、苦笑されるが、それだけだろう。
お互いに、もう長く連れ添った夫婦なのだから、逃げる必要なんてない。
だいたいお互いにもう若くないのだから、
紅が似合うかどうかで恥ずかしがったりするのは可笑しいだろう。
だが、どうにも幸円には
今の自分を見られるのが恥ずかしくて堪らないのだ。
それが、年に合わない紅を塗っているからだけなのか‥。
押し黙っている幸円に如水は心配そうな顔をしてから、
彼女の後ろに目を向けた。

「おや、これは‥」
「あ」

如水の手が幸円の後ろに置いてあった紅に伸びる。

「あぁ、‥懐かしいですね。
私が貴方に贈ったものだ。まだ、持っていてくれたのですね」

手にとって、嬉しそうに見つめる夫に幸円は

「えぇ、‥頂いた時、本当に嬉しくて‥。
使っては勿体無いと大事に持っていたんです」

と口にする。

「あまりに懐かしいものが出てきたので、
その時の嬉しさを思い出してしまったんです」

だから、きっとこんな年甲斐もないことしたんだわ。
思わず、クスクスと笑ってしまう。
それが、ちょっとした油断になったのか
一瞬唇に弧を描いた如水によって、口元を隠していた袖を外される。

「あ」

幸円の頬が、ほんのりと唇に塗られている紅のように朱に染まる。
如水は、何故妻が己に顔を隠していたのかに気がついて
呆然としているように見えた。
その視線に恥ずかしさを感じてしまい、もう初な娘でもないのに
幸円は赤くなって、瞳を伏せた。

「あ、あの‥如水様、そんなに見つめないでください。
頂いた紅を見ていたら、あの頃を思い出してしまって‥
年も考えないでやってしまったのです」

――恥ずかしいから、見ないで下さい

掻き消えそうな声で、そう呟いて
如水の腕を振り払おうとする。
そんな幸円の耳元に

「幸円、貴方に‥接吻をしても構いませんか?」

と、夫の少し掠れた声が入ってくる。
驚いて目線を合わせれば、何処か如水の頬も赤いようだ。

「駄目ですか?」

初めて褥を共にする前に
若い夫に口にされたそれとまったく同じ台詞に
幸円も若い頃の己がしたように、思わずゆっくりと首を縦に振る。
如水の唇が己の唇に触れた瞬間、幸円は内心苦笑した。
私ったら、震えているわ。
たかだか、接吻なのに。
夫婦なのだから、恥ずかしがることなどないのに。

「ふふっ」

そう考えていたら、不意に口から笑いが零れてしまう。

「幸円?」

驚く夫に幸円は、また少し笑ってから

「ごめんなさい。私ったら、若い頃でもないのに如水様といることに
ドキドキしているから可笑しくって」

と口にした。
すると、つられたように如水も笑う。

「あぁ、そうですね。私も緊張していました」
「如水様も?」
「えぇ、幸円がとっても魅力的に見えて‥とても胸騒ぎがしました」
「まぁ‥。嫌ですわ、からかってわ」
「からかってなんかいませんよ」
「あら。‥でも、やっぱりこの色は若い子の色だわ」
「いいえ、まだ充分似合いますよ。
ううん、‥貴方は年をとっても魅力的な人ですよ、幸円」

優しく抱きしめてくれる如水に、幸円はくすぐったそうに笑って

「ふふっ、‥紅のせいでしょうか?
今は、若い頃のように貴方に甘えたいです」

抱き返す。
すると、如水が少しばかり意地悪な声音で

「どうぞ、甘えてください。
‥私も、若い頃の衝動のまま‥
貴方を押し倒したいと思っていたところですよ」

そう囁いて、ゆっくりと幸円を床に押し倒す。
触れてくる唇に

「ふふっ、紅がついてしまいますよ、孝高様」

そう幸円は若い頃のように夫を呼んで、首に腕をゆっくりと回した。
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